50代からレチノールを始めるのは遅い?
結論から言うと
いいえ、50代からでも遅くありません。肌は何歳になってもレチノイドに応えてくれます。50代、60代、それ以上の女性を対象にした臨床試験でも、小じわ、キメ、シミのはっきりした改善が確認されています。50代で変わるのは、レチノールが効くかどうかではなく、どう始めるかなのです。まずは名前の整理から。似た言葉が入り混じって使われるので、誰でも混乱してしまいます。レチノールは、ドラッグストアで買えるおだやかなタイプ。トレチノインは、より強力な処方薬(日本では医師の処方が必要)です。どちらも同じビタミンAの仲間で、まとめてレチノイドと呼びます。このガイドは、レチノールから始める方のためのものです。
研究で実際にわかっていること
- 臨床研究では、トレチノイン(処方薬レベルのレチノイド)を使った女性は、有効成分の入っていないクリームを使った女性に比べて、小じわが減り、肌の色ムラが整い、なめらかさが増しました。
- 効果は長続きします。長期の研究では、使う回数を減らしても、肌は得られた変化を保ち続けました。
- 市販のレチノールは処方薬よりおだやかで、効果の出方もゆっくりです。それでも左右の顔で直接比較した研究では、はるかに少ない刺激で、ほぼ同等の結果に迫りました。50代の肌には、このおだやかさこそが大切です。
なぜ50代でも効くのでしょうか。レチノールは、肌が古い細胞を入れ替えるスピードを高め、ハリを支えるたんぱく質であるコラーゲンを増やす手助けをします。50代の肌はこの働きが30代よりゆっくりになっています。だからこそ、少しの後押しが今のほうがよく効くのです。
あなたに合う濃度はどれ?
肌のバリアを壊さずに、50代からレチノールを始める方法
50代の肌は30代より薄く、乾燥しやすいのが普通です。だからこそ、ありがちな失敗をしやすく、そのダメージも大きくなります。強い濃度で毎晩始めて、3週間皮むけが続き、あきらめてしまう、というパターンです。正しい手順はこちら:
- 低濃度から:レチノール0.2〜0.3%。濃度はボトルの正面に表示されています。毎晩心地よく使い続けられる濃度のほうが、途中でやめてしまう強い濃度よりずっと価値があります。
- 最初の2週間は週2回。顔全体でえんどう豆ひと粒分を、完全に乾いた肌に。湿った肌だと深く浸透してヒリヒリします。
- 保湿クリームでやわらげる:レチノールのあとに塗るか、乾燥しやすい方はサンドイッチ法(保湿クリーム、レチノール、保湿クリーム)で。
- 肌の様子を見ながら、2週間ごとに1晩ずつ増やす。毎晩使えるようになるまで、8日ではなく8週間ほどかけましょう。
- 毎朝SPF30以上の日焼け止め。これだけは絶対です。レチノイドは肌を日差しに敏感にします。そして無防備な日焼けこそ、いままさにケアしようとしているダメージそのものです。
- 第2〜4週あたりの揺らぎは想定内。軽い皮むけや乾燥は肌が慣れていくサイン(A反応)で、アレルギーではありません。おさまるまで回数を増やさず、落ち着いたらまたペースを上げていきましょう。
どんな変化が、いつ見えるのか
レチノールには忍耐が必要です。とくに最初のひと月は、肌が慣れている最中で、見た目にはまだ何も変わっていません。
そして正直にお伝えすると、レチノールでたるみは持ち上がりません。フェイスラインのもたつき、首のゆるみ、深いしわは、脂肪や筋肉、骨の変化による構造的なもので、肌の表面の問題ではないからです。レチノールで「リフトアップ」できると言う人がいたら、それはセールストークです。レチノールが確実に良くしてくれるのは肌そのもの。キメ、色ムラ、小じわ、そして透明感を、年齢を問わず改善してくれます。
敏感肌の方、ほかの化粧品を使っている方は?
酒さや湿疹がある方:あごのラインで1週間パッチテストをするか、さらに低い濃度から始めることを皮膚科医に相談しましょう。すでにピーリング系の酸やビタミンCを使っている方:レチノールを取り入れる夜に新しい成分を重ねないこと。肌が安定するまで、夜を分けて交互に使いましょう。50代ではあまり関係ないかもしれませんが、念のため:妊娠中はレチノイドの使用を完全に避けてください。
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よくあるご質問
60代から始めるのは遅いですか?
遅くありません。同じ臨床試験には60代、70代の参加者も含まれており、はっきりした改善が見られました。むしろ、やさしく始める手順がいっそう大切になります。
50代ならレチノールとトレチノイン、どちらがいい?
トレチノインはより強力で効果も早い一方、医師の処方が必要で刺激も強くなります。左右の顔での比較研究によると、きちんと処方設計されたレチノールは、少ない刺激でかなり近い結果を出せます。現実的な進め方は、まずレチノールを使いこなすこと。半年続けて頭打ちを感じたら、トレチノインについて皮膚科医に相談しましょう。
効果が見えるまでどのくらいかかりますか?
目に見える最初の変化は、たいてい第8〜12週ごろ。小じわの改善は6か月目まで積み重なっていきます。毎月同じ条件で写真を撮っておきましょう。鏡では、少しずつの変化に気づけないものです。
レチノールとビタミンCは併用できますか?
できます。定番の組み合わせは、朝にビタミンC(その上から日焼け止め)、夜にレチノール。ただし、2つを同じ2週間のうちに始めるのは避けましょう。
「A反応」って何ですか?皮むけは普通のこと?
はい、普通のことです。最初の2〜4週間は、肌が慣れる過程で皮むけや乾燥、ぽつぽつとした吹き出物が出ることがあります。必ずおさまります。回数はそのままキープし、保湿を増やし、落ち着くまで新しいアイテムは足さないでください。
首やデコルテ、手にも使えますか?
使えます。むしろ50代なら使うべきです。首、デコルテ、手は年齢が早く出るのに、忘れられがちな場所。顔と同じ「低濃度でゆっくり」の進め方で、首は皮膚が薄いのでさらにゆっくり慣らし、これらの部分にも日焼け止めを忘れずに。
目のまわりにも使えますか?
慎重にであれば、使えます。塗るのは眼窩の骨(指で触れるとわかる骨のふち)まで。まぶたやまつげの生えぎわは避けましょう。目もとは週1回から始め、アイクリームや保湿クリームでやわらげて。ヒリヒリしたり皮がむけたりしたら、頬骨のラインまで下げてください。
最初は逆に老けて見えたりしませんか?
いいえ。皮むけの時期は数週間、肌が乾燥して見えることがありますが、一時的で表面だけのことです。老化ではなく、慣らしの過程です。第8〜12週には流れが逆転し、多くの女性が「始めてよかった」と実感するのはこの頃です。
レチノールで肌が薄くなりませんか?
むしろ逆です。続けるうちに肌は厚みを増し、コラーゲンが育っていきます。皮むけの時期は一時的で、表面だけの現象です。